interview

吉田刃物株式会社(佐賀県多久市)

包丁事業部の立ち上げ、
そして海外展開。

吉田刃物株式会社では包丁事業部の立ち上げとブランド構築。国内外の販路開拓と流通をサポートしています。2019年には九州の刃物メーカーとして初のアンビエンテ出展を果たしました。

包丁事業部の立ち上げとブランド作り

どのようにしてこのプロジェクトが始まったのですか。

吉田久「デザイナーと企業のマッチングがあった際に、自分たちが迷っている悩んでいる事を真剣に聞いてもらい具体的な提案をしてくれたのがきっかけでした。」
包丁事業部を立ち上げて自社包丁を全国に売り込んでいこうとしていたタイミングでした。ただ僕然とこういう風にしたいと考えていましたが、実際にカタチにするところまでできていませんでした。野澤さんとの話のなかで具体的にはこういうイメージですか?他社はこう言う風にやってますよ。こんな考え方もありますよね。と見えるかたちで提案してくれるのでイメージがしやすく社内でも共有しやすい資料ができました。

デザイン以外でも年間通しての事業の流れも一緒に考えてもらい、年間のコストや補助金の活用を計画してプロジェクトがスタートしました。

具体的にはどのようなプロジェクトだったのでしょか。

まず見本市への出展することにより自社の立ち位置の把握とブランド発表を目指しました。もともとOEMが中心の製造だったことと包丁メーカーとしては知名度も低い状態でした。そこで、国内の包丁メーカーのリサーチ。自社包丁を安定的に出荷できる商品の選定をおこないました。それからブランドコンセプト、ストーリーロゴの開発。カタログやWEBをデザインしてもらいました。

国内で開催されているいくつかの見本市のなかで「ライフスタイル展」への出展を決めました。理由としては、インテリアショップや雑貨店等であれば既存取引がある問屋とのバッティングが防げる点と海外からのバイヤーが来場しているので日本の刃物がどのように評価されているかを確認する目的もありました。

実際に展示会に出展してみてどうでしたか。

出展前にすでにWEBをみたバイヤーからのオファーもあり展示会場で商談をおこなうことができました。また、会場でもいくかの商談をおこない取り引きをおこなうことができました。会場ではブースの設営から商談サポートなども一緒におこなってもらいました。

初めての展示会としてまずまずの成果だったと思います。売り上げという目に見えてわかる成果がでたのはプロジェクトとしてよかったですしその後の流通面のサポートも一緒におこなってもらいました。

新たな販路を求めて海外へ

東京でも展示会で成果をだしたのになぜ海外へ進もうと思われたのですか。

初めての展示会としては数字をつくることができましたが、プロジェクトの売り上げ目標として厳しい面もありました。また、製造している包丁が専門的ということもあり国内での販路をつくっていくよりも海外での方が需要があると判断しました。もともと最終的に海外も見据えてたプロジェクトで動いていたのでそれが早くなったというだけです。しかし、どういった市場なのか、現地の生活スタイル等がわからない点もありリサーチ活動をどうするか?迷っている時に補助事業で海外販路開拓があったのでそこに応募し採択され、イギリス・ロンドンとスロベニアへの商談および視察、ドイツ・アンビエンテへの出展を果すことができました。アンビエンテへの出展も初年度から出展できないと思っていましたが資料とプレゼンのおかげで運良く出展する運びとなりました。

ドイツ・アンビエンテではどのようにされましたか。

アンビエンテの出展に際しては、プロモーションからブース設計、英語版のカタログ制作、旅券からホテルの手配など滞在行程まで対応してもらいまいた。現地へ同行してもらい施工作業やディスプレイもお願いし、私たちは商談に集中することができました。商談中も販売に際して助言やサポート、包丁をつかった実演等をおこない来場者をブースへ立ち止まらせるなど同じメンバーとして活動してもらいました。

プロジェクトとしては3年後以降に海外へ出展する計画でしたが早い段階で実現することができました。

2019年2月、2020年2月と2回にわたり出展するとこができましたが2021年はコロナウイルスの影響で会期が延期となり、順調に販路開拓や売り上げを積み上げてきましたが、世界の景気がどうなるか不透明でどうやっていくかが課題となっています。

今後どのようなことに取り組まれていきますか。

展示会への出展、渡航ができない状況で海外の販路開拓はオンラインを中心におこなっています。また、現地販売店が販売しやすいように国内で動画や写真をはじめとした販促物を制作し配布しています。またホームページも強化し、新しい商談の話もいくつかきています。今後も引き続きたくさんの国に弊社の包丁が輸出できるように活動をしてきたいと考えています。

Data

吉田刃物株式会社

所在地 佐賀県多久市南多久町大字花祭2808
営業時間 9:00~18:00(土曜は~17:00)
Web hanamatsuri.co.jp/

吉田刃物では自社での一貫生産を確立し農業用刃物や園芸用、機械用など約2000種類以上の刃物を生産しており、伝統を守りながら機械の効率化を進める吉田刃物は、使い手のあらゆるニーズに応え佐賀刃物を世界へ向けて展開しています。